ウチのサークル
僕が属するサークルはそう、""広告研究会""だ。
これを聞いた友達の反応は、2種類に分かれる。
一種類は「え?」、もう一種類は「は?」だ。
分からないのも無理はない。確かに「広告研究会」の字面を見てると、名前だけの飲みサー感がすごい。まぁそこは各自公式ホームページ(http://dkouken.net/)を見てくれ。略して「広研」、素敵なサークルだ。
話を戻す。
実は、ウチのサークルの1回生は、男女交流がマジでない。グループは男女それぞれで数個存在しており、同性でのグループ間交流はあるものの、男女の間にはとてつもなく高くて強固な、それはそれは高くて強固な壁が立ちはだかっている。超大型巨人でも傷一つつけることは出来ないだろう。あるいは、お弁当の中仕切りだ。俺たち白米は、キラキラした惣菜たちと目を合わせることすら許されないのか。
それに比べて他サークルはどうだ。夏休み中、男女仲良く「ボウリング来た卍」「スポッチャ来た卍」「カラオケ来た卍」という具合だ。完全にラウンドワンのカモと化している。玉を転がしているつもりだろうが、実はラウンドワンの掌の上で転がされているだけなのに。
と、強がってみるものの、正直羨ましい。かなりの妬ましさがある。
まぁそうは言うが、明後日から授業が始まってしまう。今年の夏休みは諦めるか。先輩達も秋以降から男女仲良くなったって言ってたし……と、思ったところ、である。と、こ、ろ、である。
同サークルの男子3人が、女子3人とユニバに行っているストーリーを上げていたのだ。
マジか
正直、俺はそう思った。敗北感に打ちひしがれた。
こうも簡単に水面下で計画を練られ、こうも簡単に抜けがけされたのだ。さすが日本男子、ninjaの血が流れているだけある。
一方で、俺の中のメロスが激怒した。必ず、かの邪智暴虐の友を除かなければならぬ。俺の中のルロイ修道士は両手の人差し指をせわしく交差させて打ちつけているし、俺の中のエーミールも「そうか、そうか、つまりきみはそんなやつなんだな。」と軽蔑の眼差しを向けている。俺の中の懐かし教科書オールスターズもさすがにご立腹である。
しかし、こうも思った。
よくやった、と。
1.7メートルにも満たない巨人3人が、あの鉄壁を、そびえ立つあの鉄壁を、ぶち壊したのだ。
野蛮人しかいなかったこの氷河期から、一面白米のこの銀世界から、俺たちを解放したのだ。
これは1人の人間にとっては小さな1歩だが、広研男子にとっては偉大な飛躍である。
誰もいない部屋で、1人で、アームストロング船長みたいなセリフを高らかに宣言し、僕は安心して眠りについた。
ちなみに、僕には交流の予定は一切無い。